環境省発行『油汚染対策ガイドライン』(平成18年3月)により、『油汚染問題』に対して社会的高まりをみせています。
油による土壌・地下水汚染は周辺環境への影響が大きく、土地の資産低下や企業イメージの低下など様々なリスクを抱えています。
ガイドラインは法律のような規制的制約はありませんが、鉱油類を含む土壌を対象に、生活環境保全上の支障の観点から調査・対策が求められています。
油汚染調査事例
油汚染の範囲確定調査
油で汚染されている範囲を把握するための調査としては、油成分の揮発性に着目した土壌ガス調査と、直接ボーリングを実施して土壌・地下水汚染状況を探る調査に大きく分けられます。
広範囲に汚染拡散が予想される場合には土壌ガス調査が効率的であり、この結果をもとにボーリング調査で汚染の実態を探るのが適切です。
調査事例
土壌ガス調査とボーリング調査で、油拡散範囲と深度方向の汚染状況が明らかになった事例です。
【調査結果に基づく措置・対策の計画】
調査対象地域では、油が斜面体に沿って海側に流出する機構下にあるため、斜面体下部領域に滞留しやすい状況であることが判明しました。
措置・対策は油の回収効率、対策費用などを考慮し、斜面下方域でのウェルポイント、開削工法などの併用工を主体とした計画を提案しました。
油検知のための測定内容
土壌ガスは、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)あるいはTPH(全石油系炭化水素)を測定することにより油分の存在有無を明らかにし、深度方向における調査では土壌のTPH測定、油膜厚調査で把握します。併せて、地下水のTPH測定も行います。
これらの調査から『油の種類』も同定できます。
措置・対策事例
地下水揚水工法による事例
真空吸引工法による事例
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掘削除去による事例