砂防・防災
１．どんな仕事
当社は、防災調査・解析技術の総合化のもとに、地震・火山噴火・豪雨に伴う種々な自然災害に対する実態把握、総合的な防災対策計画の立案、各種被害想定及び対策施設計画・設計、施設完成後の維持・管理に至るまで、豊富な経験と高い技術で、あらゆる場面・段階において数多くの支援を行っています。
土石流・火山泥流による被災状況調査
近年は、頻発する豪雨に伴って土砂災害が多発化・激甚化しており、求められるニーズも多様化していますが、防災対策としては、施設を配置するための調査、計画、設計といったハード対策と、ハザードマップや警戒避難体制を整備して災害リスクマネジメントを推進するソフト対策に大きく二つに分けることができます。
２．仕事（防災対策）の流れ
１）ハード対策の事例
① 堰堤工
流出する土石流や流木を捕捉・調整したり、渓谷の浸食を防止します。火山噴火を想定して計画されることもあります。
② 法面工
宅地造成や道路建設にともなって自然斜面や切土斜面を補強し、安定化することで崩壊を防止します。
このような施設をどこに、どの規模でつくるか、どういった工種を採用するか、生態系への特別の配慮が必要かどうか、といった情報や課題を把握し、あらゆる段階における支援を行っています。ハード対策では、施設を施工する前段として、現地状況調査、対策計画検討、測量、予備・詳細設計といった流れで実施します。
現地状況調査では、さまざまなアプローチで必要な情報や課題を把握します。近年ではドローンを活用した手法も有効です。設計では、施設の比較案の選定、図面作成、数量・工事費算出等を的確に実施します。
渓流の現地調査状況
渓岸侵食の状況や渓床堆積物の状況を把握し、対策計画の基礎資料とします。
簡易貫入試験の様子
一般的には、ボーリング調査で地質状況調査を実施しますが、簡易的に渓床堆積物や表層地質の厚さを把握したい場合、設計に用いる土質強度を判断したい場合に使用します。
ドローンによる上空からの状況把握
災害時に人が立ち入れないような箇所や切り立った崖の上部の状況写真、及び調査対象区域の鳥瞰写真等を撮影します。
２）ソフト対策の事例
① 土石流等の二次元氾濫シミュレーション
これまで様々な地形の渓流や河川において、土石流等の二次元氾濫シミュレーションを実施し、その結果をもとに防災マップの作成、災害状況の検証、対策施設の効果評価等、さまざまな防災業務を実施してきました。地形を表現するためのデジタルメッシュ地図を作成・使用し、雨量・流量データ、土砂量、土砂の粒径や密度等の条件を設定した上で、土石流等の流下・氾濫・堆積の状況をシミュレートします。
その際には、実際の地形条件や降雨・流量の実績にもとづく検証だけでなく、計画施設を流路上に設置し、降雨規模・波形、土砂量等を任意に設定することで、様々な条件下での災害予測や任意の位置での対策施設効果予測を行うことが可能です。また、計算結果を三次元可視化、動画としてより分かりやすく表現することもできます。
土石流氾濫シミュレーション計算結果の可視化事例
土石流等の二次元氾濫シミュレーションを活用して作成した防災マップ事例
② 施設長寿命化のための調査・解析
近年は、既設の社会資本ストックを有効活用するために、戦略的な維持管理が求められています。
例えば、既設の砂防施設には、古い年代に設置されたものも多数存在しています。これらの施設の中には亀裂、損耗、コンクリート表面の劣化等、内部構造等に問題が生じていると懸念されるものがあります。こうした古い砂防施設の安全性や施設の砂防機能について点検確認を行い、問題のあるものについては緊急的に補修・補強を行い、その保有すべき機能の長寿命化を図るための的確な対策の実施が必要です。
当社では、このような古い砂防施設だけではなく杭、橋梁、ダム、河川・護岸工等のコンクリート構造物、鋼構造物、グラウンドアンカー等といった既往施設について、目視点検では判別できない内部の老朽化の状況を、高周波衝撃弾性波法等を用いた非破壊調査で把握し、施設の健全度評価や緊急補修・補強が必要とされる箇所の把握を行うだけでなく、歴史的構造物としての保存・活用計画に関しても支援しています。
集水井工の詳細点検実施状況
砂防堰堤の目視点検状況
護岸鋼矢板の設置深度調査状況
埋石の形状寸法調査状況