建設環境

 多くの火山・温泉が存在し、同時に多くの「鉱山・鉱床」が存在する日本列島は、トンネルあるいは道路等の建設工事での建設発生土に、自然由来の重金属が含まれているケースが多々ありました。

 改正された土壌汚染対策法では、このような「自然由来による重金属等による土壌汚染」も規制の対象となり、調査・設計段階から建設発生土への対策を考慮することが必要となっています。

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ヒ素を含むトンネル掘削残土(溶結凝灰岩)

地層に含まれる自然由来重金属の例

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三浦層群に当る層状泥岩
(層準によっては一様に低濃度の砒素含有)

トンネル掘削残土の重金属含有調査の例

「重金属汚染のおそれ」のあるトンネル掘削残土の仮置き

 トンネル掘削残土が「重金属汚染のおそれのある」残土と疑われる場合、下の写真に示すとおり搬入された残土は公定法による分析結果が出るまで降雨などで周辺環境に流出しないようシートなどで覆い仮置きします。

 分析後、「汚染のおそれのない」残土については「健全土」としてそのままの状態で仮置きしますが、「汚染」が判明した残土については搬入時と同様、適切な処置を実施するまでシートで覆い保管します。

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トンネル掘削残土の処理前の仮置き状況

 

ボーリングコアを用いた強制酸化試験

 本調査では、現場にて概略的に重金属の有無を把握するため、黄鉄鉱などの硫化金属鉱物が空気や水との反応により強酸性を示す特徴を利用した「ボーリングコアを用いた強制酸化試験」を実施しています。

 本手法は、過酸化水素水に希薄な水酸化ナトリウム溶液を添加した調整水(中性:pH7)をボーリングコア上に塗り強制酸化させ、当該箇所にpH試験紙を配置後、蒸留水で試験紙を濡らし試験紙の色の変化を確認します。

 本分析により重金属を有す(強酸性を示す)状況が確認された場合、重金属の種類、含有量など詳細把握のため、分光分析法などの公定法で使われる機器分析を行います。

 

【試験前】

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【試験後】

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